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筆記試験の勉強をする前に
前回まで単位取得や介入症例の作成について解説を行ってきました。次は、筆記試験について解説していきます。

まず、筆記試験の様式ですが、臨床腫瘍薬学会(JASPO)のHPにも記載があるように完全マークシート方式になります。形式としては、午前:50問(90分)、午後:50問(90分)、5つの記述の中から正しいものもしくは、誤ったものを 1 or 2 or 3つ選択するマルチプルチョイス形式が採用されていました。疫学、法規、薬理、動態、症例など様々な幅広い領域のがん関連の問題が出題されます。
ここで、先にお伝えしておきたいのが、当たり前ですが、筆記試験を勉強する前に自施設で取り扱っている内服抗がん剤・分子標的薬であったり、レジメンを振り返っておいて下さい。これは普段のがん関連の業務を行っていれば、さほど大変なことではありませんが、やはり自施設(薬局・病院)の治療内容が筆記試験の勉強の中で出てくることで、より理解が深まると思います。筆記試験の勉強を行う中では、施設にもよると思いますが、普段ふれ合わない薬剤もかなり多くでてくると思います。その中で少しでも知っている内容、理解している内容を事前に増やしておけば、良い対策になると思います。(普段から積極的にお仕事をしていれば、特には問題ありません・・・私はあまり積極的な方ではありませんでしたが・・・ww)
ちなみに2019年度から症例審査と筆記試験の結果を総合しての審査方法に変更となっています。また、この審査だけでも50%以上の受験者が不合格となっていますので、しっかりとした対策が必要です。
Essential Seminar
筆記試験の対策を行っていくに当たって、まず Essential Seminar は受講しておきましょう。これは前回の単位取得のページでも記載しましたが、外来がん治療認定薬剤師の筆記試験は、この Essential Seminar の講義内容から出題される割合が大きいからです(講義内容で過去問などの提示はありませんが・・・)。Essential Seminar には、A-Program、B-Program、C-Programがあり、可能な限りは全て受講しておいた方が良いでしょう。Aでは主に殺細胞性抗がん剤、Bでは分子標的薬、医療保険等のサービス(←特にココ!はこのセミナーでしか学べない!)について、Cでは免疫チェックポイント阻害薬、緩和ケア、新薬情報など、普段の業務の中ですでに習得できている内容から普段携わることのない内容まで、幅広く情報を獲得することが可能です。
勉強方法としては、テキストを何度も読み込み、各項目で一旦立ち止まりながら、自分の中でおさらい、確認を行う、自問自答するような使い方をしていました。2~3周ほど読み返しをすると、A~Cの各1冊10分程度で流し読みできるようになってきます。ここまでくれば、かなりの情報を取得できた感覚が得られ得ると思います。
※注意点
この Essential Seminar を申し込む場合の注意点ですが、かなり人気のセミナーになりますので、申し込み開始時間の直後から急いで申し込む必要があります。数時間もすれば、満席になります。ジャニーズのライブを申し込むみたいですよね・・・私の経験ですが、業務中にこそこそ、スマホをポチポチして、申し込み内容を入力していました。大体はお昼の12時くらいのに申し込み開始です。申し込み開始日はJASPOのHPを参照してくださいね。2020年以降からは、X-Program という外来がん治療認定薬剤師の実臨床向けの新たなセミナーも開設されている用です。
筆記試験の勉強に役立つ書籍とその使い方
Essential Seminar だけを受講し、その配布テキストだけを教材として学習すれば良いのでしょうか?Essential Seminar を受講できなかった場合はどうしたらいいのでしょうか?

安心して下さい。もちろん、Essential Seminar の配布テキストだけでは不十分です。やはり、追加の学習教材が必要でしょう。もちろん、添付文書、適正使用ガイドなどは必要ですが、膨大にある抗がん剤、分子標的薬などの全てを一つ一つ確認していくことは不可能です。ですので、何かしらまとまった読み切ることのできるテキストを使用すべきでしょう。
ここで、いくつか私が外来がん治療認定薬剤師の筆記試験に備えて有意義と感じた書籍とその使い方(勉強方法)を紹介したいと思います。
がん専門・認定薬剤師のためのがん必須ポイント(第4版)
※ネットで購入すると、少し安く、ポイント付きで購入できます。
このテキストのメリットとしては、おおよそのがん種は全て網羅されており、レジメンハンドブックやレジメン管理マニュアルにはないガイドラインに沿った治療方針の選択や様々な副作用対策、緩和ケアや放射線治療まで学習することができます。そのため、筆記試験には重宝すると考えます。(レジメンハンドブックやレジメン管理マニュアルも、もちろん日常業務では頻用する書籍になりますが、全てを学ぶという点で読み切るの難しいと思います。)

使い方としては、まず各項目(疫学、抗がん剤の種類、副作用、各がん腫等)の「ポイント」ページを確認して下さい。それだけで、大まかにその項に書かれている必須ポイントが確認できます。

それから項の内容を一読しながら、各項目の最後に「ここはチェック」ページがありますので、自分の理解度を確認して見て下さい。2~3周目以降、読み返す場合や試験直前は逆に①~②を飛ばして③の「ここはチェック」だけを猛スピードで流して行きましょう。これができればおおよその知識が身についています!※本当に慣れている方は「ここはチェック」から始めると効率的でしょう。慣れているがん種や治療の項目があれば、それも同様です。

また、内容を読んでいく中で、「この薬の用法用量や禁忌情報が知りたい!」となった時は、最後に薬品情報集がまとめられていますので、簡単にかつ凝縮された情報を得ることができます。
ただし、デメリットもあります。以前のがん専門・認定薬剤師のためのがん必須ポイント(第3版)までは「ここはチェック」が試験問題形式(マルチプルチョイス形式)であったため、自分の知識を確認、試すことが問題を解くことででき、記憶にも定着させやすくなっていたのですが、(第4版)からは「ここはチェック」に変更されてしまったため、問題を解くことができなくなりました。免疫チェックポイント阻害剤や新規分子標的薬などの新しい治療についての問題の記載はありません。
実際に出題された問題(一部抜粋)
ここまで勉強方法について説明してきましたが、やはり実際の問題を解いてみるのが、筆記試験に慣れる、筆記試験の対策をするのに重要と思います。しかし、残念ながら過去問は開示されていません。そのため、実際にどのような問題が出たのか、もし受験経験のある先輩があなたの施設にいらっしゃれば、その傾向を聴取することができるでしょう。ただ、それができたにしろ、できなかったとしろ、かなり不安になる方も多いと思います。
そこで、ボアーファーマシーでは、実際の受験経験から出題された問題を一部ではありますが、記憶の限りで模倣して作成しました(70問程度に解説付きでまとめています!)。受験者が試験直後に作成したため、完全ではないものの、ほとんどの出題傾向はつかめるかと思います。問題数はかなり多いですが、noteでご覧頂ければと思います。(価格は3500円にさせて頂きます。)
一部ではありますが、3問程度をここで公開させて頂きます。一度、小手調べに回答してみて下さいね。
●ビンクリスチンの重大な副作用について正しいものは次のうち、どれか。3つ選べ。
×1 肺塞栓症
×2 急性腎障害
○3 末梢神経障害
○4 イレウス
○5 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)
●通常の場合、原則空腹時投与が必要となる薬剤は次のうち、どれか。1つ選べ。
×1 オシメルチニブ (指定なし)
×2 ソラフェニブ (空腹時投与が必要なのは、高脂肪食摂取時のみ)
×3 スニチニブ (指定なし)
○4 パゾパニブ
×5 オラパリブ (指定なし)
●タペンタドールと相互禁忌の関係となる薬剤は次のうち、どれか。1つ選べ。
×1 フルボキサミン
○2 ラサギリン
×3 デュロキセチン
×4 オキシコドン
×5 フェンタニル
どうでしょうか?簡単!楽勝!と感じれば、筆記試験通過も簡単でしょう。少しでも不安が残るようでしたら、ぜひ上記で記述した教材をご使用頂ければと思います。
▼過去問を模倣した対策問題集(70問程度)をご覧になりたい方は下記をクリック下さい。noteにジャンプします▼

※新型コロナウイルスの関係で2020年度の認定試験が中止となりましたが、公開の処理は行いたいと考えております。
まとめ
外来がん治療認定薬剤師の筆記試験は完全マークシート方式になります。形式としては、午前:50問(90分)、午後:50問(90分)、5つの記述の中から正しいものもしくは、誤ったものを 1 or 2 or 3つ選択するマルチプルチョイス形式が採用されていました。疫学、法規、薬理、動態、症例など様々な幅広い領域のがん関連の問題が出題されます。これに応えられるだけの勉強量も必要になってくるでしょう。
しかし、私達、実臨床で働く薬剤師が考える学習時間と労力を捻出するのは、かなり大変だと思います。試験の直前での詰め込み作業も学生時代でしたら、通用しましたが、働きながらではなかなか難しいと思います。
そのため、本ページでは学習に役立つ、少しでも学習時間を減らし、かつ筆記試験に対応できる知識を効率よく得ることができるような学習ツールを紹介させて頂きました。ただし、試験というものに対して、当たり前のことですが、事前(1~2か月前)から少しずつでもいいので、コツコツ学習を開始・継続し、しっかり問題を解くことが合格へのカギだと思います。筆記試験を控えられている先生は、少しづつでも結構ですので、事前に勉強を開始頂ければ幸いです。
2021年度以降の改訂(ここも必見!)
2021年度以降はコロナウイルス感染症が拡大した影響で各種セミナーや外来がん治療認定薬剤師の新規申請試験の開催方法が変更されました。
まず Essential Seminar は、オンデマンド形式に変更されました。そのため、今まで福岡・大阪・東京・札幌と、全国のどこかの会場までセミナーを何回か受けに行かなければなりませんでしたが、2021年度以降は、ネット環境さえあれば「自宅から!」受講することができるようになります。これだけでも、交通費も時間も削減できますね!
筆記試験は、集合形式の試験は中止とし、PC が設置された試験会場で受験するCBT(Computer Based Test)方式に変更となります。JASPOが指定する全国の数カ所の試験会場で試験を受けることとなります。これも今まで東京の試験会場まで受験しに行く必要がありましたが、随分と交通費や時間を削減できますね!
この記事をお読みの薬剤師の先生方は、この機に、随分と外来がん治療認定薬剤師の新規申請試験は受けやすいものになっていますので、是非・是非・是非、受験を検討してみて下さい!
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コメント
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