頭皮のフケをなくす方法とミコナゾール【薬剤師が解説】

C 美容・皮膚疾患

頭皮のフケに悩むことはありませんか?そのフケの原因をもしかしたら解消できるかもしれません。

そんなものは洗っておけばいいんだよ」っというのは、大きなまちがいですので、しっかりとした知識をつけて、フケ対策を考えていきましょう。

フケの原因

マラセチア真菌(カビ)

マラセチア属真菌(カビ)

頭皮は特に皮脂の分泌が盛んな部位です。さらに、頭皮には皮脂や汗などを栄養とするマラセチア真菌(カビ)という皮膚に常在する真菌(カビ)がいます。ほどよい皮脂は頭皮に潤いをもたらし、マラセチア属真菌(カビ)は雑菌や細菌の侵入を防いで頭皮の健康を保つ役割を果たしています。
ところが、何らかの理由で皮脂やマラセチア属真菌(カビ)のバランスが悪くなり、多すぎたり少なすぎたりすると、頭皮のターンオーバーが崩れ、角質が大量に剥がれ落ちる「フケ症」と呼ばれる状態になるのです。

フケのタイプは大きく2つ

脂性フケ

脂性ふけ(ベトベトタイプ)

皮脂が過剰にある場合は、皮脂を栄養とするマラセチア属菌(カビ)も必要以上に増殖します。これによって地肌が刺激を受け、炎症を起こし、ターンオーバーが乱れて大量のフケが発生します。これが「脂漏性皮膚炎」とよばれる状態になります。脂漏性皮膚炎の人の頭皮にテープを貼り、表面のフケなどを取って染色液で染め出すと、健康な人の50倍以上のマラセチア属真菌(カビ)がみられます。取り切れていない皮脂は酸化が進み、ほこりや汚れを吸着し、古い角質とまざりあってベトベトした脂性フケとなります。もともと脂性肌タイプの人は、頭皮に皮脂や汗が人より多く発生するため、脂性フケになりやすいと言えます。脂漏性皮膚炎の発症にはほかに、体質的な要因、食事バランスや洗髪の仕方、ストレスなど生活上の問題も関係しているといわれています。

乾性フケ

乾性ふけ(カサカサタイプ)

過度な洗髪や洗浄力の強いシャンプー剤によって皮脂が必要以上に落とされることが原因です。潤いがなく乾燥した頭皮は免疫力が低下し、ターンオーバーのリズムが早まって未熟な角質細胞まで剥がれ落ちるようになります。もともと乾燥肌の人は頭皮も乾燥しやすく、乾性フケになりやすいと言えます。

年齢・性別・季節によりふけのタイプに差異

フケのタイプや発生のしやすさは、年齢や性別、季節によっても多少異なります。 湿気の多い夏場は脂性フケが増え、空気が乾燥する冬場には乾性フケになりがちです。
性別でみると、男女ともに成長期である10~14歳ごろにかけて皮脂の分泌量が増え始めます。男性は60歳代ごろまでずっと皮脂の分泌量が多く、女性は30歳代までがピークで、この時期には脂性フケが出やすいと言えます。それ以降は皮脂量が減少していき、逆に肌が乾燥しがちに変わってくるため、乾性フケが多くなる傾向にあります。

医療機関での治療が必要なフケ

尋常性乾癬、頭部白癬、シラミなどの寄生虫、アトピー性皮膚炎などの、フケ・かゆみを伴う他の皮膚疾患が原因の場合もあります。

参考・引用

・くすりと健康の情報局 第一三共ヘルスケア フケ・頭のかゆみの原因
・持田ヘルスケア株式会社 フケ症とマラセチア属真菌 

フケをなくす方法

ここまでで、フケの大きな原因が「マラセチア属菌(カビ)」であることがわかりました。では、ここのマラセチア属菌(カビ)は、抗菌薬の様な菌を殺すような薬で除去することができるのでしょうか。答えは「いいえ」であり、マラセチア属菌は、「細菌ではなく、真菌(カビ)」であり、細菌と真菌(カビ)は全く別の生命体になります。そのため、菌を殺すような抗菌薬では、マラセチア属菌(カビ)は除去することができないということになるのです。

真菌は、細菌とは異なり、核膜を有する真核生物で、細菌よりは哺乳類の細胞に近い。用いる治療薬も抗菌薬とは全く異なる。

真菌学ダイジェスト 真菌学総論

では、マラセチア属菌(カビ)はどのようにして、抑制することができるのでしょうか?

それは、抗真菌薬を使用することです。抗真菌薬は抗薬とは、全く別の薬剤であり、マラセチア属菌の様な真菌(カビ)に増殖抑制作用、殺真菌作用を有します。国内には、医療用抗真菌薬としてアムホテリシンBなどのポリエン系抗真菌薬、ケトコナゾールやイトラコナゾール、フルコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬、ミカファンギンなどのキャンディン系抗真菌薬など、様々な抗真菌薬が存在します。しかし、実際に頭皮に対する抗真菌薬(シャンプータイプの抗真菌薬)というのは、臨床上では存在せず、販売されていませんでした。そこで・・・・

近年、この事実から、アゾール系抗真菌薬である「ミコナゾール」を配合したフケとりシャンプー製品が市場に出回るようになりました。実際には、医薬品ではなく、ドラッグストア等で購入できる「医薬部外品」の分類で、「フルフル」という商品名で、シャンプー製剤が発売されたのです。ちなみにですが、日本での取り扱いはありませんが、従来から海外輸入という形で、「ケトコナゾール含有シャンプー(ニゾラールシャンプー等)」という、ミコナゾール同様のアゾール系抗真菌薬を用いた商品も流通しています。

これらの登場により、脂漏性皮膚炎の従来の治療に比べて、その効果は大きく飛躍しました。そして、これらのシャンプーを適切に使用すれば、脂性フケ、乾性フケの両方を治療できるようになったのです。

ミコナゾールの作用メカニズム

ミコナゾールは、繰り返しになりますが、アゾール系抗真菌薬であり、マラセチア属菌(カビ)に対して増殖抑制作用、殺真菌作用を有します。では、ミコナゾールはどのようにして、カビに作用するのでしょうか?

ミコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬は、真菌の細胞膜を形成しているエルゴステロール合成を強力に阻害する作用を有しており、この作用により真菌に対して増殖抑制作用、殺真菌作用を発揮するとされています。ちなみに、ヒトの細胞膜はコレステロールで形成されているため、ヒトの細胞への作用はほとんどない副作用が少ない)と考えられます。

ミコナゾールを含有する製品 まとめ

日本では主に「フルフル」と名付けられた「ミコナゾール含有シャンプー」が発売されています。

処方

「フルフル」のシャンプーには、マラセチア属真菌に作用する「ミコナゾール」だけでなく、頭皮のニオイを防ぐ、抗酸化作用・抗菌作用をもつ「オクトピロックス(ピロクトンオラミン)」が含有されています。また、「フルフル」にはリンスの販売もあり、「ミコナゾール」に加えて、「植物性アミノ酸を用いたコンディショニング成分」を含有させています。

では、ここからミコナゾールを含有する製品にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

コラージュフルフルネクスト<すっきりさらさらタイプ>

まずは、コラージュフルフルネクストの<すっきりさらさらタイプ>です。もっともオーソドックスなミコナゾール含有シャンプーになります。最もシェアが大きい製品になりますので、初めてご使用になる場合には、こちらを選択してみても良いかもしれません。

すっきりさらさらタイプ>がオススメの方

・フケ
・かゆみを防ぎたい方
・肌の敏感な方
・頭皮が脂っぽい方
・すっきりした洗い上がりがお好みの方
・クレンジングシャンプーをお探しの方

(シャンプー)ミコナゾール硝酸塩*、ピロクトンオラミン*、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルメチル-β-アラニンNa液、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、濃グリセリン、プロピレングリコール、コハク酸一ナトリウム、無水クエン酸、水  *印は「有効成分」、無印は「その他の成分」

シャンプー<すっきりさらさらタイプ>

※ネットで購入すると、店舗購入に比べて、
安く、ポイント付きで購入頂けます。

リンス<すっきりさらさらタイプ>

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コラージュフルフルネクスト<うるおいなめらかタイプ>

こちらは、コラージュフルフルネクストの<うるおいなめらかタイプ>になります。日頃から頭皮が乾燥しやすい、冬場など乾燥しやすい季節が気になる、コラージュフルフルネクストの<すっきりさらさらタイプ>で乾燥が気になった方などがご選択頂ける製品になっています。そのため、成分も<うるおいなめらかタイプ>と<すっきりさらさらタイプ>で成分が少し異なっています。

うるおいなめらかタイプ>がオススメの方

・フケ・かゆみを防ぎたい方
・肌の敏感な方
・頭皮が乾燥しやすい方
・髪が長い方
・指通りなめらかに洗い上げたい方

(シャンプー)ミコナゾール硝酸塩*、ピロクトンオラミン*、トリメチルグリシン、プロピレングリコール、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルグァーガム、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ジステアリン酸グリコール、無水クエン酸、HEDTA・3Na液、水  *印は「有効成分」、無印は「その他の成分」

シャンプー<うるおいなめらかタイプ>

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リンス<うるおいなめらかタイプ>

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コラージュフルフル プレミアムシャンプー(リンスなしでOK)

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コラージュフルフルのプレミアムシャンプーは、フルフルネクストと同様にミコナゾールオクトピロックス(ピロクトンオラミン)を含有していますが、さらに、日本で初めて消臭有効成分「緑茶乾留エキス」を含有させた製品になっています。従い、フルフルネクストを使いながらも、頭皮のニオイが気になる方には、プレミアムシャンプーに切り替えてもよいかもしれません。また、コンディショニング成分を配合しており、シャンプーだけでなめらかになります。フルーティーフローラルの香りで、肌の弱い方も安心して使える低刺激性です。

女性の抜毛・薄毛の原因として考えられるもの

ミコナゾール硝酸塩*、ピロクトンオラミン*、緑茶乾留エキス*、ラウロイルメチルーβーアラニンNa液、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、濃グリセリン、プロピレングリコール、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、無水クエン酸、エデト酸塩、香料、水、無水エタノール

コラージュフルフル スカルプシャンプー(リンスなしでOK)

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コラージュフルフルのスカルプシャンプーも、フルフルネクストと同様にミコナゾールオクトピロックス(ピロクトンオラミン)を含有していますが、その他にも、潤いを与える10種の植物エキスアミノ酸系洗浄成分リンスなしでもきしまないコンディショニング成分など、より育毛ケア、頭皮ケアを考えた製品になっています。現時点で、育毛ケア、頭皮ケアが気になる方、フルフルネクストやプレミアムを使っていてるが、育毛・頭皮が気になる方はこちらを選択してみ良いかもしれません。

「ミコゾナール硝酸塩」をシャンプーとリンスに配合
「ミコゾナール硝酸塩」をシャンプーとリンスに配合

ミコナゾール硝酸塩*、ピロクトンオラミン*、センブリエキス、アルニカエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、BG、ラウロイルメチル‐β‐アラニンNa液、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、濃グリセリン、プロピレングリコール、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、無水クエン酸、メントール、HEDTA・3Na液、香料、水

さいごに

ここまで、ミコナゾールを用いたフケ治療を行う方法とそのシャンプー・リンス製品について紹介してきました。これで、あなたの頭皮のフケの悩みが解消できることを祈っております。

そんなものは洗っておけばいいんだよ」っというのは、大きなまちがいですので、しっかりとした知識をつけて、フケ対策を考えていきましょう。

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