専門医療機関連携薬局(がん)とは?「外来がん治療専門薬剤師」と「地域薬学ケア専門薬剤師(がん)」

A 外来がん治療認定&専門薬剤師

薬局の認定制度が、2019年11月に公布された改正薬機法において新設されました。患者が自身に適した薬局を選択できるよう、特定の機能を有する薬局は、都道府県知事による認定を受けることができるようになりました。認定薬局には地域連携薬局専門医療機関連携薬局がありますが、いずれも「患者のための薬局ビジョン」(2015年公表)において示された、【対物業務】より【対人業務】をより優先させた、今後の薬局に求められる機能が具体化されたものになっています。

専門医療機関連携薬局とは?

島根県:地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局(トップ / 医療・福祉 / 薬事・衛生・感染症 / 薬事 / 薬事)

専門医療機関連携薬局とは、機能別の薬局認定制度において、特に【がん領域】において、より高度な医療を提供できる薬局に与えられる認定制度になります。この【薬局認定制度】は、従来の主な薬剤師業務であった【対物業務】から、本来の薬学的な知見をもつ薬剤師が発揮できる能力をより一層活かした【対人業務】へと重きを変えるために創設された制度であり、【薬剤師の存在意義】そのものをより優れたものであると主張できるように要件も設定されています。そして、専門医療機関連携薬局は、がん等の専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応できる薬剤師(外来がん治療専門薬剤師地域薬学ケア専門薬剤師(がん等)を有しており、薬局に対して与えられる薬局単位での認定となっています。

専門医療機関連携薬局はどんなことをするの?

専門医療機関連携薬局の薬剤師は、がん治療を受けている患者様、そのご家族様等に対して、質の高い服薬指導を提供することができます。

例えばの事例になりますが、大腸がんの治療に対して、XELOX療法やXELIRI療法、SOX療法やIRIS療法など、カペシタビン、S-1等の内服抗腫瘍薬とオキサリプラチン、イリノテカン等の注射抗腫瘍薬を併用するレジメンの場合、通常の調剤薬局の場合、カペシタビン、S-1等の内服抗腫瘍薬の副作用モニタリングも嘔気、手足症候群、流涙等の説明・確認程度までになってしまうのが現状です。

しかし、専門医療機関連携薬局になれば、内服抗腫瘍薬の副作用、アドヒアランスモニタリングだけでなく、オキサリプラチン、イリノテカン等の注射抗腫瘍薬を併用するレジメン全体の流れや、末梢神経障害、下痢、コリン作動性クリーゼ等々の副作用・・・またその支持療法薬(デュロキセチン、プレガバリン、ミロガバリン、半夏瀉心湯、炭酸水素Na、ウルソデオキシコール酸、ロペラミド等々)の提案まで、安全かつ快適な化学療法を施行するためのサポートを行うことができます。

外来がん治療専門薬剤師と地域薬学ケア専門薬剤師(がん)

専門医療機関連携薬局に勤務する薬剤師の中に、日本臨床腫瘍薬学会が認定する「外来がん治療専門薬剤師」または日本医療薬学会が認定する「地域薬学ケア専門薬剤師(がん)」のどちらかがいる必要があります。

参照:傷病の区分に係る専門性の認定を行う団体等の公表について(厚生労働省)

では、この2つの外来がん治療専門薬剤師地域薬学ケア専門薬剤師(がん)とはどのような専門資格なのでしょうか?この2つの違いは何なのでしょうか。とりあえず、一つにまとめると、その両方ともがん治療を安全に施行するための知識・技能を習得した薬剤師であり、がん専門医療機関および調剤薬局、その他の医療機関と連携、相互理解し合い、地域がん医療において、患者とその家族に対してトータルサポートを行うことが大きな役割となります。

この2つの違いについては、以下のテーブルにまとめます。ざっくりとしては、専門資格を与える学会が異なる、取得するための要件が異なる等が大きな違いになってきます。地域薬学ケア専門薬剤師(がん)の症例数は異常に多いのが特徴ですね・・・

外来がん治療専門薬剤師 地域薬学ケア専門薬剤師(がん)
運営団体 日本臨床腫瘍薬学会 日本医療薬学会
研修期間 30単位(1日就業:1単位) 5年
単位 60単位 50単位
症例 10症例(APACC申請時) 指定領域(50例)+がん領域(20症例)
合計(70症例)
更新頻度 3年毎 5年毎

ちなみに、外来がん治療【専門】薬剤師(BPACC)と外来がん治療【認定】薬剤師(APACC)は異なる認定資格になるため、ご注意下さい。専門医療機関連携薬局の申請に必要になるのは、BPACCになります。詳細は、以下のページでご確認下さい。

診療報酬とマネタイズについて

残念ながら、現状は基本的に診療報酬には影響しません。しかし、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局等の薬局としての認定が設立され、今後は診療報酬に関与してくる可能性があります。また、何も認定・専門を取得できていない薬剤師・薬局は、今後に診療報酬の観点からも淘汰されていくことが想定されるため、向上の意欲・意識を持ち続けていくことが重要と考えられます。

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