外来がん治療【専門】薬剤師(BPACC)とは?外来がん治療【認定】薬剤師(APACC)と何がちがう?

A 外来がん治療認定&専門薬剤師

外来がん治療【専門】薬剤師(BPACC:ビーパック:Board-certified Pharmacist of Ambulatory Cancer Chemotherapy)は、日本臨床腫瘍薬学会が運営する2021年に新設された認定資格制度です。既存の外来がん治療【認定】薬剤師(APACC:エーパック: Accredited Pharmacist of Ambulatory Cancer Chemotherapy)とは、一体何がちがうのでしょうか?

【専門】(BPACC)と【認定】(APACC)で何がちがう?

外来がん治療【専門】薬剤師(BPACC:ビーパック)は、外来がん治療【認定】薬剤師(APACC:エーパック)認定制度の基本的な考え方をふまえつつ、2021(令和3) 年8月に医薬品医療機器等法に基づき創設された専門医療機関連携薬局認定制度の要件を備えた薬剤師の育成を目指した認定制度です。

では、もともと存在していた、外来がん治療【認定】薬剤師と外来がん治療【専門】薬剤師とでは一体何がちがうのでしょうか?

それは「薬局が病院と連携するために必要な実地の業務に関する一定水準以上の知識および経験を有しているかどうか」、つまり「がん診療病院連携研修等の病院での実務経験もしくは研修実績があるかどうか」という違いになります。また、APACCは3年の実務経験で取得可能でしたが、BPACCは5年の実務経験が必要になってきます。

「がんに専門的な薬剤師として、やっぱり病院での専門的ながん治療の経験も必要だよね!」というプラスアルファが追加になったことになります。確かに、「医師等は必ず病院での研修課程がある」のに対して、「薬剤師は新卒で民間の調剤薬局にいきなり勤務できる」ため、調剤薬局の経験のみのAPACCの先生には、専門知識について「伸びしろ」が期待されていると考えられます。

地域医療連携のイメージ
日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療専門薬剤師制度

(引用:臨床腫瘍薬学会HP 外来がん治療専門薬剤師(BPACC)

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)が担う地域医療連携のイメージ

前項でも、解説したように、BPACCにはAPACC以上に、がん治療を行う専門病院・調剤薬局間での連携をより強く、「相互理解を深める」ための目的が盛り込まれています。(引用:臨床腫瘍薬学会HP 外来がん治療専門薬剤師(BPACC)が担う地域医療連携のイメージ

地域医療連携のイメージ

近年では電話フォローであったり、トレーシングレポートであったり、患者・薬局・病院間での、関係性もより深いものになってきており、がん治療の領域においては、副作用状況や内服抗腫瘍薬、支持療法薬のアドヒアランスの向上等についても、病院薬剤師、調剤薬局薬剤師の役割、知識レベルの向上は非常に重要なものになってきています。

地域医療連携のイメージ

(引用:臨床腫瘍薬学会HP 外来がん治療専門薬剤師(BPACC)

なぜ外来がん治療【専門】(BPACC)薬剤師が新設された?

BPACCの臨床における役割としては、基本的にはAPACCとは変わりません。がん治療を安全に施行するための知識・技能を習得した薬剤師であり、がん専門医療機関および調剤薬局、その他の医療機関と連携、相互理解し合い、地域がん医療において、患者とその家族に対してトータルサポートを行うことが大きな役割となります。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)には、外来がん治療認定薬剤師(APACC)の要件である(1)、(2)に加え、(3)が必要です。

(1)外来がん治療を安全に施行するための知識・技能を習得している
(2)地域がん医療において、患者とその家族のトータルサポートができる
(3)病院と薬局が緊密に連携して、がん薬物療法に対応できる

(1)および(2)に関しては、APACC、BPACCで同じ要件になります。

(1)および(2)については、新規申請時には、各種講習会の研修歴や筆記試験を通して、外来で行われるがん薬物療法に関する高度の専門知識を有しているかを確認され、提出事例の審査および面接試験を受けることで、実地で患者に対して服薬指導を行える適切な技能および態度を有しているかの審査をされることになります。また、認定取得後も、各種講習会の受講や更新時の筆記試験を課すことにより、最新の知識・技能の習得および維持を試されます。

(3)の薬局が病院と連携するために必要な実地の業務に関する一定水準以上の知識および経験を有しているかどうかの判断については、以下の2項目によってのみ行われます。逆に言えば、下記の2項目さえクリアしてしまえば、APACC→BPACCにランクアップできるということです!

・日本臨床腫瘍薬学会がん診療病院連携研修を修了したことの確認
 (病院での実務経験もしくは研修実績があるかどうか

・病院または薬局での 5年以上の薬剤師としての勤務歴を有することの確認

(引用:臨床腫瘍薬学会HP 外来がん治療専門薬剤師(BPACC)

では、なぜなぜ・・・となってきますが、なぜBPACCへのランクアップが新設されたのでしょうか。それは、2021(令和3) 年8月に医薬品医療機器等法に基づき専門医療機関連携薬局認定制度が創設されたためです。

専門医療機関連携薬局とは、機能別の薬局認定制度において、特に【がん領域】において、より高度な医療を提供できる薬局に与えられる認定制度になります。この【薬局認定制度】は、従来の主な薬剤師業務であった【対物業務】から、本来の薬学的な知見をもつ薬剤師が発揮できる能力をより一層活かした【対人業務】へと重きを変えるために創設された制度であり、【薬剤師の存在意義】そのものをより優れたものであると主張できるように要件も設定されています。そして、専門医療機関連携薬局は、がん等の専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応できる薬局に対して与えられる薬局単位での認定となっています。専門医療機関連携薬局について、詳しくは下記のページもご参考下さい。

補足:機能別薬局認定制度とは?

薬局の認定制度は、2019年11月に公布された改正薬機法において新設されました。患者が自身に適した薬局を選択できるよう、特定の機能を有する薬局は、都道府県知事による認定を受けることができるようになります。認定薬局には地域連携薬局専門医療機関連携薬局がありますが、いずれも「患者のための薬局ビジョン」(2015年公表)において示された、【対物業務】より【対人業務】をより優先させた、今後の薬局に求められる機能が具体化されたものになっています。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)は、どうすれば取得できる?

臨床腫瘍薬学会の「外来がん治療専門薬剤師(BPACC)」の認定を申請する方は、次の各条件をすべて満たす必要があります。

●病院、診療所または薬局における薬剤師としての実務の経験を5年以上有すること。

●「外来がん治療認定薬剤師(APACC)」認定試験を受験し合格していること。

●日本臨床腫瘍薬学会が行うがん診療病院連携研修を修了しているか、修了とみなす認証を受けていること。※注)

※注) 臨床腫瘍薬学会が実施する「がん診療病院連携研修」を受けていない場合でも、自身の病院での勤務歴により、「がん診療病院連携研修を修了したと同等とみなす」場合があります。

(引用:臨床腫瘍薬学会HP 外来がん治療専門薬剤師(BPACC)

ちなみに・・・

BPACCを目指す際に、まだAPACCを取得していない・・・APACCの試験を受験中である・・・等の場合、APACC取得より前に日本臨床腫瘍薬学会が行うがん診療病院連携研修」を申し込み、実施しておくことも可能です!そうすることで、APACCに合格のタイミングとあまりタイムロスなく、BPACCにランクアップすることが可能です。

外来がん治療認定・専門薬剤師に興味のある方、目指したい方へ

下記のページより、外来がん治療認定薬剤師の取得のためのコンテンツを作成しております。ご興味がございました、ぜひご一読頂ければと思います。

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